ひまらやのあおいけし 1 (ヒマラヤの青いケシ)
学名 |
Meconopsis betonicifolia (Papaver betonicifolium) |
日本名 |
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科名(日本名) |
ケシ科 |
日本語別名 |
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漢名 |
藿香葉 綠絨蒿 (カクコウヨウ リョクジュウコウ, huòxiāngyè lǚrónghāo) |
科名(漢名) |
罌粟(オウゾク,yīngsù)科 |
漢語別名 |
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英名 |
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2007/05/10 薬用植物園 |
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2007/05/26 同上 |
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辨 |
メコノプシス属 Meconopsis(綠絨蒿,リョクジュウコウ, lǚrónghāo 屬)は、英名は Chinese poppy、ヒマラヤ・チベット・中国西南・西北の高地に約40種があり、ほかには西ヨーロッパに M.cambrica(E.Welsh poppy;花は黄色)1種・カリフォルニアに1種が自生する。
ヒマラヤ乃至中国西南部には、次のようなものがある。
M. baileyi 今は、M. betonicifolia の変種として扱う
M. bella 花は淡靑色。ヒマラヤに分布
M. betonicifolia 靑花。チベット東部・雲南・ビルマ上部に分布
M. chelidonifolia (黃花綠絨蒿・蒿枝七・銀烏, E.Chinese poppy)
四川西部に分布。 『中国本草図録』Ⅶ/3132
M. delavayi 『雲南の植物』110
M. grandis 靑花、紫・白の変種がある。ヒマラヤに分布、『週刊朝日百科 植物の世界』8-216
M. henrichi (藍花綠絨蒿) 四川に分布、『週刊朝日百科 植物の世界』8-212
M. horridula (多刺綠絨蒿・総状綠絨蒿, 藏名烏巴拉色爾布, E.Blue chinese poppy)
花は紫藍色。甘肅・靑海・四川・雲南・西藏に分布。全草を薬用。
『雲南の植物』111・『中国本草図録』Ⅴ/2116・Ⅸ/4139・
『週刊朝日百科 植物の世界』8-214
var. racemosa (総序綠絨蒿) 靑海に分布。 『雲南の植物Ⅰ』81
M. integrifolia (綠絨蒿・全縁綠絨蒿・毛瓣綠絨蒿, 藏名阿拍色魯(アポスロ),
E.Yellow chinese poppy)
黃花。雲南西北部・四川西部・靑海南部・甘肅南部西藏に分布 『全国中草葯匯編』下/150-151
『雲南の植物Ⅰ』82・『中国本草図録』Ⅵ/2621・『週刊朝日百科 植物の世界』8-214
subsp. lijiangensis 『雲南の植物』113
M. lancifolia(長葉綠絨蒿) 『中国本草図録』Ⅸ/4140
M. napaulensis 花は赤・紫・青など、ヒマラヤ産。『週刊朝日百科 植物の世界』8-214
M. paniculata 黃花。ヒマラヤに分布、『週刊朝日百科 植物の世界』8-214
『中尾佐助著作集』IV巻頭図版
M. prattii 『雲南の植物』112
M. pseudointegrifolia subsp. pseudointegrifolia 『雲南の植物』113
M. punicea (紅花綠絨蒿, 藏名阿柏几麻魯) 赤花。四川・靑海・西藏に分布。花茎・果実を薬用。
『中国本草図録』Ⅸ/4141・『週刊朝日百科 植物の世界』8-214
M. quintuplinervia (五脈綠絨蒿・毛葉兔耳風) 花は浅藍色乃至紫色。
陝西・甘肅・靑海・四川・西藏に分布。全草を薬用。『中国本草図録』Ⅵ/2622
M. simplicifolia ヒマラヤ産、『週刊朝日百科 植物の世界』8-214
M. wallichii var. fuscopurpurea ヒマラヤに分布 『中尾佐助著作集』IV巻頭図版
なお、IPNIは、Meconopsis は Papaver のシノニムとする。 |
ケシ科 Papaveraceae(罌粟 yīngsù 科)については、ケシ科を見よ。 |
訓 |
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説 |
「青いケシ類は、日本で栽培すると、種子をまいた年には開花しないので、そのまま夏を越させる必要があるが、高温のため枯死することが多く、栽培は困難である。しかし、イギリスやアメリカ、カナダなどの冷涼な地方では栽培が容易で、庭園植物となり、かなりな数の園芸品種もできている。」(中尾佐助『著作集』Ⅳ) |
日本では、 M. betonicifolia、M.×scheldonii の種子が販売されている。 |
中国では、
黃花綠絨蒿 M. chelidonifolia (花は黄色)
多刺綠絨蒿 M. horridula (花は紫藍色)
全縁綠絨蒿(綠絨蒿・毛瓣綠絨蒿) M. integrifolia (花は黄色)
紅花綠絨蒿 M. punicea (花は深紅色)
などを観賞用に栽培する。 |
誌 |
「一九一三年、イギリスのベイリー大尉 F.M.Bailey は、アッサムからパスポートもなしにチベットに潜入した。そして、ツアンポ川が南下してブラマプトラ川となる屈曲点を探検し、新しい七〇〇〇メートル級の二峰、ナムチヤ・パルワとギャラベリを発見したが、その紀行文に青いケシを見たことを一行書いておいた。その後、有名な植物探検家キングドン・ウォード
K.Ward は、この記事をたよりにその地に赴いたが、そこで採集したのがこのバイレイイ〔メコノプシス・バイレイイ M.Baileyi〕だったのである。」(中尾佐助『著作集』Ⅳ) |
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